元亀元年の姉川の戦で織田徳川連合軍が浅井朝倉連合軍を叩き潰すと信長は、徳川家康に恩賞として「大般若長光」を授与した。元亀4年、長篠の合戦で織田徳川連合軍が武田勝頼軍を撃破すると、恩賞として家康から奥平信昌へ下賜された。信昌の四男・松平忠明に承継され、忍藩松平家の家宝として明治を迎えた。大正期、同家から競売に出され、明治憲法の法制家伊東巳代治が購入した。現在は、東京国立博物館の収蔵品になっている。刃長は二尺四寸三分、鎬造、庵棟。高い腰反で中切先詰まり猪首。刃文は、高低のある丁子乱の大丁子、互の目交じりで足葉よく入り、金筋が入り、全体に匂口冴える。帽子は乱れ込み、先は小丸に返る。地鉄は小板目肌釣み、地沸が細かにつき乱映りが立つ。表裏に棒樋を丸止め。茎は生ぶで先をわずかに切る。鑢目は勝手下がり。目釘孔は二つ。佩表に「長光」二字銘がある。