水墨画のような洗練された美しさがあるなどと言われる日本刀の魅力は、見る人によって異なるとも言われています。刀剣を目の前にすると、「怖い恐ろしい」などといったような恐怖心を抱く人もいれば、その「妖艶」な雰囲気に飲み込まれてしまいそうだなどと語る人もいます。長い歴史の中で刀剣は、武器としての意味合いをもって、作られてきましたが、神を奉る際の神器として神聖なものとして扱われたり、大切な家族などの身を守るためのお守りとして身につけることもあったようです。実際に現代においても、白無垢の花嫁が胸元にさしている短刀は、嫁入りする娘の家族の想いが形となっているなどとも言われています。このように人々の思いや気持ちを形にしてきた刀剣ですが、歴史上に名を馳せる名刀には、それぞれに携わってきた人々の思いが詰め込まれた一品であることは確かでしょう。日本刀は、生き物であるなどと言われるように、実物を保管したりメンテナンスすることは大変手間のかかることであります。ですから平安時代の友大昔の刀が現存するということは、そこにはたくさんの人々の思いが偲ばれていると考えてよいのではないでしょうか。